宇和島から中村まで
<宇和島から中村まで(初めての長距離路線バスの旅)>

 私は仕事柄、それまで鉄道での移動が多く,一般のバスにはあまり乗る機会がありませんで した。これは平成元年に初めて宇和島から中村まで,の長距離路線バスに乗った時のレポートです。
 12月15日,四国松山での仕事を午前中で終わった。あさっては名古屋に行くことにな っている。このまま真っ直ぐ名古屋へ向かうのでは時間が余りすぎるから,予土線で高知経由で行 こうかと時刻表を見たが,列車の接続がうまくない。未だ乗っていない予土線に乗りた かったのだが宿毛経由の路線バスに乗ってみることにしたのである。
 松山発11時57分,急行「うわじま3号」に乗り,内子線を通って宇和島 駅には14時01分着。駅前に〔バスのりば〕と書いたビルが見えたが,念のため駅で確 認する。時刻表には〔バスセンター〕と書いてあるのだが。。。
 早速,自動券売機で1600円の宿毛までの切符を買う。バスのりばは案内窓口や待 ち合い室もあり,案内放送もあるので助かる。14時24分発宿毛行きに乗る。すでに 何人か乗っていたので,〔バスセンター〕というのは別なのだろう。バスは10人程の 乗客を乗せて国道56号線を南下する。
 途中で小学生や高校生が乗って来るが,必ず幾つか先のバス停で降りてしまう。鉄道 の無い町の通学路線なのだ。バスはもっと海岸風景を楽しめるかと思っていたが,海岸 を走るのは少なくて,ごく普通の田舎道を走り続ける。バイパスがあるところは旧道を 通って行く。主要な町では必ずバスターミナルがある。パケットもモニターしてみたが NET/ROMらしいビーコンを一回受信したのみであった。
 途中,〔トンネル〕という名のバス停などもあり,人家のまったく見えないバス停で も下車する人もいた。県境の手前で遂に乗客は私ひとりになり,高知県に入った。車内 放送で中村方面乗り換えの案内があり,そこで下車。この宇和島自動車のバスはこの先 バスセンター迄行くようだ。
 下車したところには高知県交通のバス待合所があった。時刻は16時20分。ここの 宿毛の町で泊まってもいいかなと思って近くに良いホテルでもあればと少し見回して見 たが,無さそうだ。いつものビジネスホテルガイドの本を見て中村のホテルを電話で予 約し,ついでに最寄りのバス停名も聞く。券売り窓口は売店を兼ねておじさんがひとり でやっている。中村行きの960円の切符を買い,下車のバス停も確認する。発車時刻 は16時54分まで,しばし都会から離れた小さな町の雰囲気を味わう。
 バスが来たという案内で乗車。これもバスセンターが始発のようだ。15名程度の乗 客を乗せた〔下田行き〕のバスは中村経由なのだ。ちょっと紛らわしいのだ。
 車窓右手に所々に新線建設中の高架線が見える。〔土佐くろしお鉄道宿毛線・平成6 年完成〕と書いてある。
 5時30分,バスが中村に着く頃はもう外は暗くなり今日泊まるホテルの看板も見えたところでバスを降りた。
 早速ホテルにチェックイン後,パケットをセットしてとりあえず1.06をモニター 状態にする。そして,食事をしようかと街に散歩に出る。南国とはいえ夜は寒く,草々 に引き上げホテルで食べることにした。
 部屋に帰ってモニターを見ると,KAノードのJR5CNR局が見えコネクト出来た のでメールボックスに中村に初めて来ている旨の挨拶をメールする。
 翌朝再度コネクトすると返事が入っていたので,さらにこれから帰る旨のメールを入 れてパケットのスイッチを切った。
 ホテルから中村駅までは歩いて10分。駅は市街地から外れたところにある。つい最 近第三セクター鉄道になった〔土佐くろしお鉄道〕だ。7時33分発の特急「南風4号 」で窪川まで乗る。自動券売機で特急券込みの切符を買おうとしたとき,料金の表示が 幾つもあって分かりにくく,あやうく間違った切符を買うところだった。又,後で考え てグリーン席との差が160円だったのでグリーンにすれば良かったと思った。
 窪川で下車,ここからはJR土讃線。昨日,松山駅で買った〔青春18きっぷ〕の1 枚で今日は岡山まで行くことにする。さらに新幹線で名古屋だ。
 そんな訳で,路線バスを乗り継ぐ旅を初めて経験しました。最初はバスの時刻やバス 停の場所などの不安はあったが,困難無く実行出来た。鈍行列車の旅もいいが路線バス の旅も変わっていていいですね。
 (注:文中のパケットとはアマチュア無線のパケット通信のこと)


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