モンゴルの鉄道に乗る

今回、NPO団体による海外視察旅行に加わり、モンゴルに行って来ました。 その時、ウランバートルからサインシャンドへの移動にモンゴル鉄道に乗りました。乗ったのはウランバートル発ザミーンウード行きの276列車である。

ウランバートル市内

ウランバートル空港には前日の成田発、直行のOM502便で19:15に着。出発が遅れたため、約1時間の延着である。 ちなみに9月のモンゴル時間は日本時間と同じなので20時頃まで明るいのだ。 空港にはこれからいろいろと案内をしてくれる現地の皆さんの出迎えを受けて、市内のダイシーホテルに向かいます。空港の周辺にはもう枯れ草の草原が広がっています。 こういう風景はテレビでは良く見ているものの、実際にその中に降り立つと始めて見るその風景に目を見張ります。 道路脇や市街地にもゲル(モンゴル式の丸型テントの住居)を見ることが出来る。
夕暮れの空港からクルマで走ること約30分で市内のホテルに着きました。このホテルはまだ新しく、こぢんまりとした綺麗なホテルです。シングル朝食付きで58US$である。モンゴルのほとんどのホテルでは$が使えるようです。 また部屋ではNHKのテレビを見ることが出来ます。しかし、シャワーの出し方や水栓の開け方が日本とは違い、操作にちょっと手間取ってしまった。 ホテル前の道路は幹線道路らしく、一晩中クルマの走る音が聞こえていました。
モンゴルモンゴル

翌朝は9:30に迎えに来てくれた日本語の出来るガイドさんのクルマで市内観光となりました。 まず両替所にて50$を現地通貨Tg(トグルグ)に交換します。100Tgが約¥10なので、計算がしやすい。
観光の最初は郊外にある「ザイサンの丘」へ登り、ウランバートル市街の展望を楽しみます。街は盆地のためか少しスモッグが漂っている。市街の標高は1300mだが、この丘はそれよりも100mは高いでしょう。 このような観光地に行くと各所で絵や羊毛製品を売る人が寄ってきます。日本語で「1ドルでいいですよ」、とか何とか話しかけられるとつい買ってしまうのです。 その後は、100年の歴史ある旧宮殿に仏像などが展示されている「ボクドハーン宮殿博物館」の見学、さらに「政府宮殿前広場」ではたまたま行われていた幼稚園のつどいで展示や園児達の行進を見物します。そうそう、ここで「個人公衆電話」を見ました。コードレス電話の親機のような携帯電話機を手に抱え、有料で電話の発信サービスをやっているのです。モンゴルには日本にあるような固定公衆電話は無いみたいです。
モンゴルモンゴル

その後レストランで昼食をすませ、「SKY」というスーパーマーケットに寄って、店内を見て回ります。電気製品にしても日用品にしても日本と同じくらいか少し安い程度の値で、食料品は半値くらいでしょうか。 自分の会社の製品も展示されていて嬉しくなります。屋外にはずらりと並ぶ個人のバザールが賑やかでした。
モンゴルの道路事情はあまり良くなくて、市内や幹線道路は良く舗装されているが、歩道などは一部を除いて凸凹の土道で歩く足下には注意が必要です。クルマは右側通行であるが7割のクルマは日本製の右ハンドル車であり、ホーンを鳴らすクルマが多くてうるさい。トラックなどには日本の運送会社名などが書かれたままになっているのもあります。歩行者もクルマも信号無視が多いので危ない感じです。 大きな橋を渡っている時に、何十頭もの牛の集団も橋を渡っているのを見ました。
モンゴルモンゴル
ウランバートルからサインシャンドへ

ウランバートル発16:30−−−>01:33サインシャンド着(切り離されて車中泊)・・・

市内観光は15時に切り上げ、市街の南西部に位置するウランバートル駅に向かいます。さすがにこの駅は首都の玄関口駅、堂々とした大きな駅です。 でもどういうわけか正面の入口は閉鎖されているため、待合室へは駅舎の外を回ってホーム側から入ります。ホームには移動式の売店、待合室には新聞・週刊誌や飲み物・菓子類などの売店があります。 まだ発車の1時間以上前なのに、もう荷物を沢山持った人たちが大勢集まっています。 16:30の発車までにはまだ時間があるので、駅のホームや周辺を見て歩きます。駅の時刻表を見ると1日に10往復ほどのダイヤが掲げられています。 長い編成の石炭列車も通過して行きました。尚、乗車する列車は276列車です。
モンゴルモンゴル

16時になり、1番ホームに276列車が入ってきました。いよいよモンゴル鉄道の約480Kmの旅がこれから始まるのです。 目的地であるサインシャンドの町はここから南東の方向で、さらに先に行けば国境を越えて北京に出る鉄道です。 モンゴル大学の教授と学生2名も同行します。
私たちの車両は最後部の貸切車両です。すぐ前の車両の行先表示には「サリンゴル・UB(ウラーンバートル)・ズーンバヤン」と書いてあるようで、サインシャンドから別れて支線に入る車両です。
モンゴルモンゴル

列車の編成が長いため、ホーム停車中では前の方が見えなかったのだが、途中のカーブでは24両もの客車を2両のDLで牽いているのがわかりました。(車両数は写真で数えた) 全長で約500mもある計算になり、日本では見られない長大編成です。
モンゴル鉄道には週に数便の北京−モスクワ間の国際列車も走っており、単線非電化ではあるが旅客・貨物とも重要な輸送手段となっているようです。線路の幅は広軌です。 それと運賃だが、サインシャンドまでの普通席は換算で¥320、コンパートメントが¥760、子供なら¥90と本当に低額なのだ。そういえば市内バスは¥10で乗れるようです。 それと比較して物の価格はどうして安くないのだろうか。
モンゴルモンゴル

車窓から見る小さな川には、涸れ沢の多いモンゴルにしては珍しく水が流れており、放牧の牛が草を食べています。またオアシスのような森が繁っているところも一部にありました。 そのオアシスの森の先に我々の車両を牽いている重連の機関車が小さく見えます。
モンゴルモンゴル

列車は長い上り坂のS字カーブの連続を40Km/hくらいの速度くらいで進んで行きます。途中にΩ状の大カーブもありました。Ω状カーブの全景は車窓からは撮れませんが、窓のすぐ下に先程通って来た線路が見えるのです。
草原の中にポツンと駅舎があり、その向こうには通信アンテナ群が立っています。この先もまだ上りです。
モンゴルモンゴル

途中駅で石炭列車と交換します。この貨物列車には後ろにも機関車が付いています。石炭は火力発電所で使われるようです。
モンゴルモンゴル

長い上り坂もいつの間にか終わるとカーブも無くなり、まっすぐな線路を行くようになってスピードも上がります。
最後部の車両なので、連結側デッキの窓は小さいが展望列車のような感じで写真が撮れます。
モンゴルモンゴル

時刻はまもなく20時、地平線に日が沈んで行きます。
モンゴルモンゴル

列車の部屋は4人用のコンパートメントだが、2人ずつで利用しました。毛布は付いているが、シーツはタオルと枕カバーがセットになって¥50は別料金。 しかしそのシーツは上下2枚セットなのだが、正方形で長手方向が少し短かく、横幅は長すぎてどうも中途半端だ。飲み物のサービスは薪の釜で沸かしたティーが¥20である。 この車両にはお茶のサービスも担当する女性乗務員が二人乗務していた。またトイレは水洗式のが車両の2カ所に付いている。
暗くなったらもう寝るしかありません。いや、遅くまで酒を飲んでいた同輩は警察官が回ってきて罰金(約¥1000)を取られたそうだ。治安いまいちのモンゴルでは団体列車であろうと、車中の飲酒は禁止されているのです。
サインシャンド駅には真夜中に着き、ガターンという入れ替えのショックで目が覚めてしまうが、またウトウトします。 あとで時刻表を見ると途中26駅に停車しながら、1:33に着いたようです。(丁度、東京から東海道線に乗ったとすれば米原の少し先迄を、約9時間で来たことになります。評定速度は約50Km/hだから日本の快速か急行列車並の速度である)
窓の外が明るくなって来て目が覚めたので、時計を見るとまもなく7時。外を見ると駅舎から少し離れたところの貨物用のホームに貨車と一緒に停泊していたのでした。 急いで身支度をし、まもなく迎えのクルマがホームまでやって来て、それに乗って市内のホテルに向かいます。 朝は寒いかなと思って厚めの上着を用意したのだが、寒いということは無い。
モンゴルモンゴル

サインシャンド

サインシャンドはドルノゴビ県の県都、市街の中心は駅から2Kmほど離れたところにあり、標高は900mほどの町だ。その中のシャンドプラザホテルで朝食となりました。
ホテルの周辺が市街地なのだが、土地が広いためか周囲の建物は点々としています。右の写真の丘の向こうが駅で、すぐ右にあるのはガソリンスタンド。
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朝食後、郊外にある気象観測所を見学します。市街から一歩出るともう砂漠でした。そうここはもうゴビ砂漠なのです。 観測所の中には太陽光発電の試験設備があり、大学生による設備の定期点検を見ながら、設備の説明を聞きます。モンゴルでは晴れの日が多く、平均気温が低いのでソーラーパネルは効率良く発電するとのことです。
モンゴルモンゴル

観測所敷地内には付近で発掘された大木の化石が置いてありました。今は砂漠化しているここゴビ砂漠もかっては森林地帯だったわけです。
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その後、ゴビ砂漠の中を南方へ50Kmほど入ります。道のような、そうで無いような所を1時間ほどクルマは走ります。 私たちの3台のクルマ以外は荒涼とした平原しか見えません。すれ違うクルマも2台ほどあっただけです。 前のクルマとは少し離れたタイヤ跡を選んだりして時速7〜80Kmでとばすのがすごいです。ホコリを吸わないようにとマスクが渡されました。
モンゴルモンゴル

途中の砂丘で休憩します。地面をよく見ると砂の色と同じのトカゲがチョロチョロしていました。 残念ながら、ここで昨夕交換したカメラの電池が消耗してしまいました。どうもカメラの電池の消耗が早い。今度来るときはソーラーの充電器を用意して来なければ。。。
その後は砂漠内(と言っても少しは草が植生している)のゲル民家を訪問し、ゲルキャンプ場で昼食休憩。ラクダに乗ったり、ゲルの中で昼寝する人もいた。同輩氏の温度計を見ると外気温は30℃を指していました。
それにしてもこの砂漠化の進行は、なんとか防ぐ方法を見つけなければならないと考えさせられました。
モンゴルモンゴル

<平成18年9月>



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