初期中山道・牛首峠

日出塩〜牛首峠

中山道には塩尻を通らない初期の中山道がありました。 この旧街道は日出塩と贄川の間の「これより南・木曽路」の碑がある付近から東の山中に入り、牛首峠を越えて小野宿、さらに小野峠を越えて下諏訪で塩尻峠からの中山道と合流する道である。 距離は短いが途中には峠が2つあり、沢沿いを通る道は大雨で崩れるなどの災害が多かった道のようです。
今日は日出塩駅に下車して東向きにその道を歩いてみます。
塩尻からJR中央西線で2つ目の日出塩駅で下車したのは私一人でした。時刻は12時55分、駅前すぐの中山道に出ます。ここは2年前に贄川から歩いて来たことがある旧中山道です。
牛首峠牛首峠

日出塩集落を出て贄川方面に行くと、中山道は国道19号線に合流します。
その国道を10分ほど行くとホテルの脇を左に行く道が見えてきました。ここを入るのです。かつてはこのホテルの先あたりから入っていたようですが、今はこの道になっています。国道をそのまま行けば「是より南・木曽路」の碑があるところです。
4月初旬の今は冬季通行止めの看板が立ててあります。でも歩行者は通れます。ちょっと寂しい道を熊鈴を付けて行きます。
現在JR中央線はこの付近はトンネルで地下を通っていますが、電化前はここを踏切で横切っていました。今は廃線跡になっています。
牛首峠牛首峠

山の斜面を緩やかな上り坂で行くようになります。右下には中央線の線路が見えます。
牛首峠牛首峠

まもなく桜沢川のサイドを行くようになります。道路の春期開通に向けての路面の整備が行われていました。もう4月ともなれば残雪こそ無いのですが、路面には落石や土砂・落ち葉が積もっているところがあるのです。
牛首峠牛首峠

国道から30分ほどで「辰野町」の標識に出ました。峠が塩尻市との境界かと思ったのですが、ここが境界なのですね。 ここから林道が右に分岐しており、石仏(馬頭観世音)も立っていました。
牛首峠牛首峠

沢沿いの坂道を上っていきます。
まもなく左に急カーブします。旧街道はまっすぐに行っていたのでしょうが、砂防提で分断されています。
牛首峠牛首峠

ヘアピンカーブで折り返しながら上っていくと、眼下に旧街道があったであろうと思われるところが見えますが、土砂に埋まっているようです。
牛首峠牛首峠

14時30分、切り通しの牛首峠に着きました。ここにはゲートがあり、ここでも道路の整備中でした。
牛首峠牛首峠

峠の標高はどこにも書いてないのですが1060mくらいでしょう。
峠の南側には鳥居があり、その奥には山の神が祀られていました。
牛首峠牛首峠
峠から山口集落へ

峠では見晴らしは無かったのですが、下って行くとまもなく前方が開けてきて残雪の山々が見えてきます。諏訪湖の先の霧ヶ峰・八ヶ岳方面でしょう。
牛首峠牛首峠

その先の左上10m程に「牛首塚」と書かれた案内板が立っていました。これが牛首峠の名の由来のようです。
左の切り株がその2代目の松なのでしょうか。
(右の写真はクリックすれば拡大します)
牛首峠牛首峠

塚の所から草道が下っています。旧街道の名残かも知れませんが、すぐに車道と合流します。
牛首峠牛首峠

そこのところに一里塚跡です。塚の上には石碑が立てられています。
(右の写真はクリックすれば拡大します)
牛首峠牛首峠

前方の開けた気持ちの良い道を下っていくと左に旧道と思われる薮になった切り通しがありました。
牛首峠牛首峠

下方に集落が見えてきたところでT字路になりますが、よく見ると直進する草道が下っています。旧街道です。
牛首峠牛首峠

石仏があるのが何よりの証拠の旧街道です。クルマの通った跡はありませんが、草は刈られており、歩きやすい道です。
牛首峠牛首峠

右から回り道して下ってきた車道と合流して山口の集落に入ります。集落の入り口には石仏群があります。
牛首峠牛首峠

集落の中もなだらかに下っていく街道です。民家の前にも石仏があります。
牛首峠牛首峠

道祖神もあります。やはり集落近くの石仏は地元の人達により良く保存されているようです。
牛首峠牛首峠

信州地方でよく見る民家の造りです。不思議なのは門が玄関と中庭を仕切るようになっているのです。
牛首峠牛首峠

さらに小野宿を目指して

民家が途切れて、次は中村集落です。
牛首峠牛首峠

石垣の上に無造作に置かれている石仏もあります。
集落の中で五差路に出ますが街道は右です。
牛首峠牛首峠

五差路の正面に石仏群です。
その先の路地にも街道の方を向いた石仏が立っています。
牛首峠牛首峠

3つ目の下村集落に入ります。
牛首峠牛首峠

立派なお屋敷ですが、1階部分が道路に隠れるような低い位置にあります。多分、道路が嵩上げされてしまったからなのでしょう。
牛首峠牛首峠

集落を出ると川の向こう側に旧道が残っていました。
山の斜面の木の根っこの下に石仏があります。
牛首峠牛首峠

草道の旧道が車道に合流するとそこには「一里塚跡」です。塚の跡は田んぼになっており、石碑と標柱が道路の両側に立てられています。
牛首峠牛首峠

その先、橋を渡ったところにも旧道らしい草道があります。
牛首峠牛首峠

そして進行方向右に分岐する旧道のような道へ入っていきます。川の堤防のような道でこれは旧街道では無いかも知れません。 あぜ道を捜して車道に戻ります。
牛首峠牛首峠

すぐに国道153号線に突き当たり、小野宿です。この国道は伊那街道であり、中山道は左に行きます。
小野宿には結構、古い町並みが残されています。中山道が塩尻経由に移ってからは伊那街道の宿場町として栄えたようです。
牛首峠牛首峠

本陣や問屋があります。
(右の写真はクリックすれば拡大します)
牛首峠牛首峠

地元出身者で地元に貢献したという小野氏の記念館も重厚な門構えです。
牛首峠牛首峠

時刻はまもなく17時、旧中山道はここの信号機を右に入るのですが、今日はここまでとし、すぐ先のJR小野駅から旧中央本線で今日の宿泊地である塩尻のホテルに向かいます。
牛首峠牛首峠

翌日はこの先の小野峠を越えて上諏訪まで歩く予定でしたが、残念ながら天候が雨となってしまったため、とりあえず今回は延期することにしました。
<平成20年4月>

次の小野峠へ


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