土坂峠へ

上吉田〜土坂峠

上州街道の峠越えは志賀坂峠越えともうひとつ、土坂峠越えの道があります。 今日は上吉田から土坂峠を越えて万場に下りる予定で歩いて行きます。

※掲載地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものです。
(承認番号 平16総複、第659号)


土坂峠へ吉田町側から入るには秩父鉄道の皆野駅からバスに乗ります。この駅前は道が狭いためバスの停車場は駅から少し離れた県道側にありました。8時35分発の西武バス吉田元気村行きに乗車します。前回歩いた街道をバスの窓から眺めながら、上吉田には9時10分に到着です。
土坂峠土坂峠

ここ上吉田までは今年の2月に歩きましたので、今日はここから探索をスタートします。
ここから小川まではほぼ県道に吸収されて拡幅されているので、あまり旧街道だった面影はありません。
途中の明ヶ平集落の道端には石仏が立っていました。
土坂峠土坂峠

歩道はほとんど無い県道ですが、走るクルマが少ないので助かります。道は緩い上りが延々と続きます。
小川集落には毎年夏には昔からの「百八灯」の火祭りが行われるようです。説明板が立っていました。
土坂峠土坂峠

上吉田でバスを降りてから約1時間で小川の旧街道の入口に来ました。県道は真っ直ぐ行けば土坂トンネルで、橋の手前から右に入る街道は土坂峠を目指します。
土坂峠土坂峠

街道に入ってまもなく右側に3つの石仏が立っていました。右が道祖神で左の2つが馬頭尊だという。真ん中の馬頭尊の台座には道しるべが刻まれているのだが、もう行き先の文字は風化して読めません。(右いさま、左太たぶ。と書いてあるはず)これは元々はこの先の木橋の先の三叉路にあったのだが、昭和13年の水害で流されたため、ここに立っているとのことである。
土坂峠土坂峠

さらに真っ直ぐ行くと砂防提に突き当たるようになるが、道はそれを避けるように上って行きます。(本道は少し手前から右に真っ直ぐ入る草道でしょう) その先に木橋で沢を渡るのだが、朽ちており渡れない状態である。沢の水は流れていないので足跡のある川底を渡ります。
土坂峠土坂峠

沢を渡った先は草が繁っており道跡がわかりにくいのだが、地形図を参考に左側の川の左岸を行きます。右へ行く道は石間部落へ行く道とのことだが、こちらも草が繁って荒れています。
街道はまもなく高さ2mほどの崩れた段差となり、沢に下りるしかありません。
土坂峠土坂峠

石と倒木の沢を少し行くと右に道路が見えて、それを斜めに横断する道筋となります。
土坂峠土坂峠

新しい土砂が山のように道を覆っていますが、乗り越えます。この付近は道に沿って電柱が建っており、電柱の工事中の穴がありました。
土坂峠土坂峠

かなり草木に覆われている旧街道ですが、このあたりは道型ははっきりしています。
まもなく林道に合流しました。街道はこの林道に吸収されているのかどうかははっきりしません。林道の造りが新しい感じなのです。
土坂峠土坂峠

案の定、まもなく完全な行き止まりになります。(林道矢丸沢線)
でも、左へ入れる細い木こり道があったのでそれを行って見ます。途中の急斜面には危なっかしい丸太の橋が架かっていました。
土坂峠土坂峠

しかしまた、5分ほど行くと沢の中になってしまいます。水が無いので少し沢を上ってみますが、すぐに進めなくなります。
ここまで来て戻るわけにも行かないので、右側の杉林の急斜面を木に捉まりながら登ってみます。
土坂峠土坂峠

10分ほど斜面を登ると、道跡らしいところに出て、それを少し行くと壊れかかった石垣がありました。まさしくこれは街道でしょう。ここは先ほどの沢の最上部のようです。
土坂峠土坂峠

その先の右側には「重右衛門岩」と思われる大きな岩がありました。(歴史の道調査報告書による)
T字路に突き当たりました。道標も何もありませんが、これは右へ行くと太田部で、左が土坂峠です。
土坂峠土坂峠

道型ははっきりしており、草木はそれほど多くは無い道です。地籍調査の赤い杭も打ってあります。 まもなく小峠です。峠らしい切通しになっていました。(土坂峠は大峠とも呼ぶそうです)
時々、下の方からクルマの走る音が聞こえてきます。
土坂峠土坂峠

峠の右側の岩には石仏があり、その岩の裏には林道(上武基幹林道)が来ていました。
小峠から先の街道は崩れてしまっており、先には進めません。右側の岩を乗り越えて林道に出ます。
時刻はここで12時となり、おにぎりで昼食です。
土坂峠土坂峠

林道を5分ほど行き、左にカーブするところから土坂峠への上りが始まるはずなのだが、上り口らしいところが見つかりません。 少し先まで行って林道のトンネルが見えたところで引き返します。そこで何とか杉林の中から上ってみます。
土坂峠土坂峠

道無き林の中、いちおう歩けるので道を探します。すると小屋のあるところの先に道の形跡がありました。道には雑木が背丈近くもあるのですが、道の形が何とかわかるので少し進んでみます。途中で小さな沢をひとつ渡ったが、その先で背丈を越える藪となったところであきらめることにして、引き返しました。まあ、仕方が無いでしょう。(林道から15分程度かけて入った)
土坂峠土坂峠

土坂峠の先

その後は林道を進んで県道に合流し、土坂トンネルを抜けて群馬県万場側へ出たのです。
土坂峠土坂峠

群馬県側から登ってみようかと試みたのですが、ここも100mほどで藪が深くなり、探索不能になりました。
仕方なく、県道を歩いて行きます。途中に谷に沿って道筋らしいところもありますが、砂防ダムで進入出来ません。
土坂峠土坂峠

土坂峠 残念ながら土坂峠には登れませんでした。もしかしたら、冬か春先なら行けるかも知れませんが。
尚、群馬県側に半分くらい県道を下った時に雨が降り出しました。ちょうどその時、山仕事らしき地元の軽トラックが下って来て、「乗って行かないか」と止まり、万場の国道バス停まで載せてもらいました。バス停に着いたときは土砂降りになり、助かりました。
バス停にはちゃんと屋根もあるが、それにしてもバスの時間まで2時間もある。1時間ほどの雨宿りで晴れてきたので、万場町内を歩いて時間をつぶします。

<平成17年5月>



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