保福寺街道・稲倉峠越え

保福寺街道、それは長野県松本から上田に抜ける「歴史の道」であり、古くからの東山道または江戸道と呼ばれている道である。 現在、2つの峠越えの部分は林道(県道)の整備により一部は廃道化が進んおり、通行が困難になっているところもある。 今回、松本市稲倉(しなぐら)の峠口から入ってみることにした。
前夜は松本に宿泊し、松本バスセンター発8時25分の一ノ瀬行きバスに乗車。このバスは前に善光寺街道を歩いたときにも利用したバスである。
松本電鉄バスの案内所で峠に一番近いバス停を探したが「稲倉」というのは無く、「峠口」という名のバス停があったのでそこで下車することにした。また乗車前に切符を買おうとしたら、どういうわけか自動券売機に¥520円の切符ボタンが無く、バス内で払って欲しいと言われてしまった。
尚、今回の探索は長野県発行の「歴史の道調査報告書 第17集」を参考にしました。

※掲載地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものです。
(承認番号 平17総複、第178号)

稲倉(しなぐら)〜峠まで

稲倉峠 今日は土曜日とあってか、一ノ瀬行きバスの乗客は私一人である。 バスは善光寺街道と重複する岡田宿の旧街道を通り、善光寺街道とはそこの枡形のところで分かれ、国道254号線を三才山トンネル方面へ向かう。
峠口バス停を下りたところは国道254号のバイパスであり、稲倉の町並みはすぐ山側に見えるのだが、そこへ入る道が見つからないのである。ちょうど農作業の人がいたので聞くと、民家の庭を通る道を教えてくれた。
旧道(保福寺街道)に出ると、峠や石仏の説明書きが建っており、峠への登り口は分かりやすい。
稲倉峠
稲倉峠


林道が出来てからは石仏などはこの峠口に移動されているようです。林道に吸収された街道を少し行くと、ありました昔のままの街道が。その入口には「稲倉峠への旧道は昭和53年の白張林道の完成までは重要な生活道路であった」と書かれている。
稲倉峠稲倉峠

しかし旧街道も5分も行くと道跡があまりはっきりとしなくなるのです。でも橋の無い谷川の向こう側には草道が見えたので、石伝いに川を飛び越えて渡り、坂道を上って行くと林道に合流しました。またすぐ先に旧道のような道が上っていたので入って行きます。
(あとでわかりましたが、これは街道では無くて農道でした。街道はここで500mほど林道を進みます。。文末の補足を参照下さい)
稲倉峠稲倉峠

林道を左へ500mほど行くと砂防提が見えるヘアピンカーブのところの「山火事注意」の標識があるところから登る草道がありました。これが旧街道です。(農道を行っても林道に出るので、500mほど左へ行けばここに来ます)
稲倉峠稲倉峠

しかし、5〜6分ほど登っていくと小屋のある先で涸れ沢の中のようなところになり、道すじも解らなくなりました。また前方・左右とも急傾斜の斜面で行き止まり状態になります。
稲倉峠稲倉峠

小屋のところから左に登る道がありましたが、これもすぐに道の形跡は無くなります。 とにかく上に行けば林道に出るはずなので傾斜40度はあろう山の斜面を樹木に捕まりながら10分ほど登ると、なんとか林道に出ました。
稲倉峠稲倉峠

林道に出ると眺めが良くなります。クルマもまったく来ない林道は勾配は緩いのですが遠回りをしながら上って行きます。
稲倉峠稲倉峠

林道をそのまま20分ほど歩き、10時15分、稲倉峠に着きました。標高は1048mの峠です。
峠から右の方へ入る足跡のある山道があるのだが、これは旧街道では無いでしょう。
稲倉峠稲倉峠

稲倉峠〜保福寺

峠には何も無いですが、芝生のある眺めの良いところに腰を下ろして休憩します。 高台からは眺めが良く、松本市街やアルプスの山並みがきれいに見えます。
ここから善光寺街道の刈谷原峠までは尾根伝いのハイキングコースでつながっているようです。
稲倉峠稲倉峠

20分ほど休憩後、保福寺方面へ下ります。車道の右側から旧道が下りているはずなので注意しながら行きますが発見出来ず、右の写真の小屋のところも旧道が横切っているのが気が付かずにそのまま通過してしまいました。(後ほど旧道はここを横切っていることがわかったのです)
稲倉峠稲倉峠

小屋の前(道とは思えないような草原)を行くとすぐに林道に出るが、すぐ先のカーブミラーのところを入っていくのが旧街道です。(もう完全な廃道ですから旧街道跡ですね。ここも下って行く時は気が付かず、下から逆行して来てわかりました) でも道幅が広く道型もはっきりしています。充分に車も通れる幅ですが、立ち木や倒木が多いです。
稲倉峠稲倉峠

木の根元には苔むした石仏が立っていました。人も来ない山の中ですから、もうお参りする人もいないでしょう。
稲倉峠稲倉峠

再度、林道を横切ってさらに状態が悪くなりますが、なんとか木々を掻き分けて進みます。
(この交差部分で旧道の道型を見つけ、ここから小屋のところまで逆行探索したのです)
稲倉峠稲倉峠

最後の林道交差に出ます。(この手前が倒木などが多く一番歩きにくかったところです)
稲倉峠稲倉峠

その先は畑の脇の草道になり、人里が近くなったことにホッとするところです。
稲倉峠稲倉峠

右からの農道と合流すればまもなく石灯籠のあるT字路で集落に出ます。左上には白張神社があります。
稲倉峠稲倉峠

集落の道から正面に北アルプスと思われる雪の山々が綺麗に見えます。
稲倉峠稲倉峠

集落内の小川を渡る橋が工事中のためちょっと回り道をします。まもなく県道に出たところで12時を回り、自動販売機でお茶を買って田んぼのあぜ道で昼食とします。
稲倉峠稲倉峠
<平成17年4月>

補足(再訪問)

1ヶ月半後にクルマで再訪し、上り(稲倉側)を再探索してきました。6月の初旬はもう青々と草木が茂っています。
左は前回には農道を行ってしまって通らなかった林道部分で、ここから左に入る道は善光寺街道(刈谷原峠)方面へ抜ける道と思われますが、草が深いです。
右の写真は峠直下の林道の横断部分の道すじですが、藪が深く入れない状態でした。この反対側はミツバチの養蜂場になっていました。
稲倉峠稲倉峠
<平成17年6月>

保福寺峠へ


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