秩父往還・曽根坂峠

前回は大滝村の秩父往還を歩きました。今回は寄居・秩父間の街道を探索します。この区間は荒川沿い回りと、釜伏峠越えの2つのルートがあったようですが、変化に富む後者の釜伏峠越えを秩父側から探索します。

※掲載地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものです。
(承認番号 平16総複、第659号)

秩父大野原〜三沢

秩父鉄道の大野原駅(秩父のひとつ手前)を下りると、50mほどのところが秩父往還です。左に行けば秩父市内、右が寄居方面である。
ここも言われてみれば街道の雰囲気は少しはあるところだが、右カーブして踏み切りを渡ればすぐに国道140号線に合流します。
秩父往還秩父往還

国道は1Kmほど行くと下り坂の先で横瀬川を渡ります。ここはその橋の下流側に旧街道が少し残っていました。民家の脇を河原に下りられます。その対岸の道は右へカーブして国道を直角に横切るのだが、現在はスーパーの駐車場になって消えてしまっている。上流側にある旧国道の橋を渡って行けばト字路の交差点があるが、そこにつながっていたのだ。ここは北に向かえば荒川沿いの往還で、東へ行くのがこれから行く峠越えの往還となるのです。
秩父往還秩父往還

分かれてからまもなくの最初の交差点(逆ト字路)を左に行きます。 静かな旧街道は徐々に上りにかかり、最初の峠(曽根坂峠)に向かって行きます。 途中では定峰峠へ行く県道を横切ります。
秩父往還秩父往還

山間に入って沢沿いを緩い坂道で上ります。まっすぐ行けば現在の曽根坂峠だが、人家が切れた先で右に入るちょっと藪がかった旧街道がありました。
秩父往還秩父往還

旧街道に入って左に回りこむように山道を4〜500mも歩けば旧曽根坂峠で、民家の屋根が見えて来ました。
秩父往還秩父往還

峠には何も無いのだが、その先は急に開けた山村の集落が広がっていました。峠を境に皆野町に入ったのです。 下って行くと車道の下をくぐります。
秩父往還秩父往還

空き家らしい大きな古い屋敷を右に見ながら下ると、まもなく県道に出ます。 そこにはお地蔵さんもある「曽根坂の一里塚」の石碑が建っていました。これは県道拡幅工事の際に南へ約100mほど移設されたものだそうです。
時刻は10時20分、大野原駅からここまで約1時間半でした。
秩父往還秩父往還

三沢


「曽根坂の一里塚」からの旧街道はほぼ県道に沿って北上します。
その県道を100mほど行って左の細道に入って行くと、左側に小屋に納められて祭られている馬頭観音がありました。
秩父往還
秩父往還

この先は広町の旧宿場で、かっては賑やかだったようです。今では古い家は少ないがそれぞれ屋号で呼び合っているとのこと。宿内で道がクランク型に曲がる角には古い道標が残されているが、もう文字は消えかかっており良く読めません。
(左の写真はクリックすると拡大します)
秩父往還秩父往還

宿の先で県道を横切り、すぐに三沢川を渡ると庚申塔があり、その先道筋は川沿いに行くのだが、ちょっとはっきりしない状態になっている。迂回して、橋を渡り県道に再合流します。
秩父往還秩父往還

旧街道を吸収したこの県道もこの辺はセンターラインも歩道も無い狭い道だが、交通量は少ない。二十三夜寺の入口を過ぎて4〜500m先でまた左に歩行者専用の旧街道が分かれる。
このあたりの旧街道は入り組んでいるのだが、「石仏と万葉の道」として道標があるのでそれを見ながら細い道を行きます。
秩父往還秩父往還

少し行くと薬研堀というV字型に造られた古い石組みの排水溝が残っており、これは珍しいものだそうです。
その先は車道(寺への道)を斜めに横切ると、民家に入ってしまうような道だがそのまま進みます。
秩父往還秩父往還

落ち葉の道を行くと、その先には「石橋」があります。これは何も知らないと手すりも無い橋に気が付きませんが、横から見ると何十個もの平たい石を組んで出来ている橋である。苔むした石が古さを感じさせる。
秩父往還秩父往還

また県道に合流すると現在の三沢の中心部に入る。小学校・郵便局・病院・交番・スーパーなどがあるところだ。 そうそう、観光用トイレとお土産店(みずほの里)もある。
小学校の先の右側に三沢川を渡る玉川橋というのがあるが、その手前に川へ下りる道筋がある。これが旧街道のような感じがするのですが、「歴史の道調査報告書」を読むと違うようです。この先は今は堰になっている。
秩父往還秩父往還

その先の玉川橋を渡ったところには、左に入る山道があり、古い道標と思われるものもあった。山道に入ってみるが300mほどで行き止まりになっており、その先は藪になってしまっていた。
秩父往還秩父往還

県道に戻って先に進みます。
県道もまもなく橋(この橋のところにお土産店がある)を渡って三沢川の右岸になり、少し行くと斜め右に入る道があり、これが旧街道です。入って100mほど先に「小平の一里塚」がありました。この辺の一里塚は盛り土では無く石碑だけで出来ていたようです。ただ、ここの石碑は昭和40年代に盗難に会ってしまい、今は小さな馬頭尊と古い榎の木があるのみです。
ここは小平という地名の通り、小高い丘であり、荒川沿いの野上町方面への道への分岐点でもある。 この先はいよいよ釜伏峠への上りにかかります。
秩父往還秩父往還

<平成16年12月>

次の釜伏峠へ


Copyright (C) 2004 JA1KLB
inserted by FC2 system