下野街道・中山峠

会津下郷駅 下野街道は会津と下野(栃木)を結ぶ街道。これを2日間で下郷町から会津本郷町まで歩いてみることにした。
この旧街道は県道の氷玉峠越えが改良されるのを機会に、平成になってから急遽整備されているということで、期待して出発です。
今回の出発地の楢原宿は街道が国道121号線になってしまっているが、鉄道の駅はありません。東武と会津線を乗り継ぎ、少し離れた会津下郷駅には11時過ぎに降り立つ。(本当は手前の会津長野駅で下車したかったのだが、乗った列車が快速列車のため停車しなかった)
楢原までは駅前から国道121号線を1.5Kmほど歩く。ついでに途中の食堂で昼食だ。


※掲載地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものです。 (承認番号 平16総複、第468号)
楢原宿〜倉谷宿

倉谷地図 楢原の宿内は街道が2車線の国道になっている。昭和18年の大火のために大部分の古い家が消失したとのことだが、そのときに道路も広くなったのでしょう。しかし、宿場町の雰囲気は伝わってくる町だ。
楢原宿

宿の北側で国道は右にカーブしているが、旧街道は直進して旗杭の間を入って行くと旧街道の説明板が立っている。
八幡峠八幡峠

途中まで神社の参道を兼ねた林道になっているが、神社を過ぎると右に分かれる落ち葉の道に入り、短いがまさしく旧街道の道だ。
林道に合流する八幡峠には宿から20分ほどで到着。道標はあるが峠の表記は無く、地形図によればここが八幡峠のはずだ。
八幡峠八幡峠

ここからは林道と一緒になって少し下り、さらに舗装にはなるがカラマツ林の綺麗な道を少し上ると、もうひとつの峠(矢の原峠)を越えて、広々とした高原状のところに出る。
そういえばこのあたりは「山中風穴」と言う名所だそうで、地面の花崗岩の間から噴出す冷気のために夏でも涼しい気候だと言います。 そのため標高は700mくらいなのだが1500〜2000m級の高山植物が群生しているらしい。ここにカラマツ林があるのもそのためでしょう。
倉谷倉谷

しばらく下ったところに一里塚跡の標識が立っている。塚は農地に転用されてしまったとの説明が書いてある。
途中に車道と旧道(農道?)が並行するところがあったので、旧道の草の道を歩く。
倉谷倉谷

下りきって県道に合流したところは小池集落があり、新しい下野街道の石柱も設置されている。この先の橋で戸石川を渡れば倉谷宿だ。
倉谷倉谷

倉谷宿は戸石宿経由で会津田島へ向かう裏街道との分岐点の宿でもあった。今では藁葺き屋根の家も残る静かなところだ。
倉谷倉谷

さて、時間は今午後2時半なのだが、これからさらに中山峠を越えて大内方面へ進むのは明日にして、早めにホテル入りして明日に備えることにする。晩秋は日の暮れるのも早いから。
バスの時間も悪いので下郷駅まで3Kmほどの県道を歩き、会津鉄道に乗って会津若松には4時半に到着する。
中山峠

翌朝、再び下郷町に向かい会津下郷駅には8時前に着く。小学生も列車通学で、いっしょに下車します。駅待合室で午前中は1本しか無い8時20分発のバスを待つ。この駅は8時から女性の駅員さんが常駐するようだ。売店も兼ねて営業準備をしています。
バスは私ひとりを乗せて定刻に発車、昨日1時間かけて歩いたところを6〜7分で朝霧に煙る倉谷に到着だ。
下郷駅下郷駅

宿の出口側が枡形になっているところの右側に古い道標があり、そこを右に上って行く。「右 若松」と何とか読めるがあとはよく読めない。
中山峠中山峠

旧街道は県道と交差しながら峠を目指す。街道の説明書きにもあるが、行政により調査するも一部の旧街道の道すじは不明のようである。
しかし道標は完備されているので安心して歩くことが出来る。
中山峠中山峠

足元の落ち葉の間に石も見え隠れして、石畳の名残かも知れません。
3回目の県道を横断した先の水道設備のあるところで旧街道は藪の中に消えていた。
少しの間、S字カーブの県道を上って行きます。
中山峠中山峠

県道脇の高倉山湧水のあるところには小さな沼とあずま屋、それに駐車も出来るようになっている。このような湧水を水道の水源として使用する人たちは羨ましい限りだ。
ここから再度、旧街道へ誘導されます。静かな山間にザッ・ザッと落ち葉を踏む足音が響きます。
中山峠中山峠

峠の手前では街道が2つに分かれます。というか並行しているので中央分離帯がある??って言ったほうがいいかも知れません。このように2車線に分離している旧街道はこの先、大内峠にもあるのです。
2車線が合流したところが中山峠で、平らな雑木林になっていました。茶屋などもあったと思われるのだが何の説明書きも無いし、地面は深い落ち葉に覆われています。地元の人が落ち葉を集めていましたので、一応ここが中山峠であることを確認する。
朝霧も晴れて日が射してきました。
中山峠中山峠

下りはなだらかなカラマツ林の道で、まもなく県道に突き当たって合流します。
高原風景の中を中山集落へ向かいます。
中山峠中山峠

<平成16年11月>

協力:下郷町役場 参考文献:福島県データベース


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