SLニセコ撮影の旅

<C62ニセコ撮影・小樽−倶知安>・・・1989年5月1〜7日(平成元年)

 青函トンネルが開通してから早1年、早く特急寝台「北斗星」のA寝台個室ロイヤル に乗ってみたいのだが今回も1ヵ月前発売時でも切符がとれない。そんな訳で今年のゴ ールデンウイークもごろ寝になりそうだったのである。しかし、ニュースによれば2日 から函館本線にC62型SLが走るし、8エリア(北海道)の天気予報もまずまずの予報だ。最寄りの駅へ 行って明日の北斗星の寝台券を聞いてみると、B寝台なら1枚あるというので7日間の 旅(?)へ出てみることにしたのだ。
 問題は宿泊先の予約であるが、本当は札幌のホテルに4連泊したかったのだが3日・4日が何 処のホテルに電話しても満員。とりあえず2日の日だけ行き着けのホテルを予約して出発することにする。
 持ち物は一眼レフカメラ(F−401という自動焦点式のバカチョンカメラ)、それにパケッ ト通信機材一式(FROM−9,TNC−u21,TR−3500,単一ニッカド電池)だ。

5月1日(月)

 大宮発17時15分、初めて乗る北斗星1号、会社帰りの通勤客に見送られて車上の 人となった。新しい列車だけあり九州方面のブルートレインよりも内装は奇麗だ。早速 隣のロビーカーでビデオを見たり、夕闇迫る車窓の景色を楽しむ。
 黒磯を過ぎたあたりで自分のベッドに付きパケットのモニターを始めてみる。JA7 YEW−11(ノード)が見えたので早速コネクトしJA7YWJ’BBSを見、簡単 に書込みをする。これは矢吹あたりから郡山を過ぎるまでコネクトできた。  この先仙台あたりで眠くなり、目が覚めたのは青函トンネルを出たあたりであった。

5月2日(火)

 長万部に6時7分着。接続よく函館本線の各駅停車に乗り換える。  小樽と倶知安の間がSLの走る区間だ。取り敢えず余市駅で下車し荷物をコインロッカーに預け、次の列車 で銀山駅まで戻り、ここでSLを待つことにする。この辺りは1000分の20の勾配が連続するところだ。
 今日は試運転なのであるがマニアは結構来ている。10時45分、 汽笛が聞こえ煙が見え出すと間もなく日本で一番大きいC62型SLが5両の旧型客車 を引いて通過して行った。皆、この瞬間を時間をかけて待っているのである。
 帰りの列車は次の小沢駅付近で撮った。しかし今日は曇天でSLを待つ間の風が冷た かった。SLの運行は1日1往復なので、撮影はこの2ポイントだけである。
 小沢駅13時30分発に乗り、途中の余市で荷物を取り札幌に向かう(停車時間の間に荷物を持ち出せたので同じ列車に乗った)。
 札幌着15時36分。駅近くの予約したホテルにチェックインし、早速明日の宿探しを兼ねて散歩に出る。しか し何処も3日と4日の日は空室はどこも無く、結局明日と明後日の札幌泊まりは諦めることにした。
 夕食・入浴後、パケットで431.06MHzをモニターするとビーコンが見えた。 早速5局のミニBBSにコネクトし、挨拶をメールする。さらにJA8EKCには1エ リア宛のFWDメールを書く。ハンディー機でも充分なコネクトが出来る。


5月3日(水)

 今日はうす曇りの空だ。ホテルのチェックアウト時にも今日・明日のキャンセルが出た か聞いてみたが、無いという返事しか無い。まあいい。
 札幌駅発7時50分の臨時急行「ニセコ」に乗る。この列車は今日から7日迄、札幌 ・函館間を1往復運転される。空いている車内で早速駅の売店で買ったサンドイッチで朝 食。私の鉄道旅行のいつものパターンだ。
 余市に9時着で下車。この駅で荷物を預け、 今日と明日の宿を捜さなければならない。早速すぐ駅前の旅館を訪ねるとあっさり断られ た。しかし、ちょっと歩いたところの商人宿を予約する。あまり奇麗ではなさそうだがいいとする。素泊りで3K円だ。
 再び余市駅から列車に乗り、昨日と同じ銀山駅へ向かう。途中、場所のいい所は人と カメラでもういっぱいである。下車後は駅のトンネル寄りで待つことにした。今日から SLは本運転なので満席の乗客を乗せて通過して行った。
 この銀山駅の近くには食堂も商店も無い。駅は高台にあるので見晴らしは大変良く、 眼下に牧場や畑の北海道らしい風景が望める。30名くらいのSLファンは帰りの列車 を撮るためにそれぞれ上りまたは下りの気動車に乗って行った。私は上りで次の小沢駅に向か った。


 小沢駅も、先の銀山駅も、古い駅舎は取り壊されて小さなしゃれた新しい小さな駅舎になって いるが、無人駅である。小沢には駅前食堂があるのでここで昼食。昨日の場所の近くで撮る。これで今日の予定は終わりだ。
 次の下り列車に乗り、時間が早いこともあり小樽迄行ってみると先程のC62型SL はまだ中線に停車し、回送を待っていた。出発を見送った後、余市へ戻る。
 旅館にチェックインし、街の散歩に出てみる。駅近くには某ウースキー工場がある。 レンガ造りの風格のある建物で見学も出来るみたいだ。5分程歩けば海へ出る川の堤防 の桜は5分咲きというところだろうか。街の中を国道5号線が走っており、小樽・札幌 方面へ帰るマイカーで渋滞している。
 部屋へ帰って先程からパケットを431.06MHzでモニターさせておいたのを見 てみたが全く見えず。余市にはパケッターはいないようだ。


5月4日(木)

 余市9時3分発の急行「ニセコ」に乗る。今日は小沢へ直行だ。小沢駅の前は国道5号線 が函館本線と並行して走っており、これを約1時間歩き撮影場所へ到着。国道が線路を オーバークロスするところだ。ここは陸橋の上から狙うと真っ黒な煙を吐きながらSL は通過して行った。最高の迫力だった。このあと国道を走るバスで小沢駅に戻る。
 さあ次は少し奥に入りたいのでタクシーを利用する。920円を払い、山間の線路脇 に陣取る。シャッターを切ったあとは線路脇をトコトコと1時間かけて駅まで歩いた。 普段はあまり足を使うことは少ないのでいい運動になる。
 15時11分発の列車で余市に戻り、宿でテレビを見たりして過ごす。今日もパケット のモニターをしても誰も見えず。明日の宿泊を札幌のホテル、6日の宿泊を盛岡に予約 して就寝。本当は明日は函館に泊まりたかったのだが取れなかった。


5月5日(金)

 今日も急行の「ニセコ」に乗る。この臨時列車はまるでSL撮影者用に設定されたよ うなもので、半数の乗客はカメラ類を持っている。小沢駅からは今日はバスで昨日の近 く迄行く。国道の傍なので車で来るファンが多い。道路脇は車で一杯だ。交通整理のパ トカー迄来て注意を促して行った。全く場所のいいところは早く来ないと場所が無くな る。

 午後はバスで倶知安寄りまで移動し、蝦夷富士(羊蹄山)をバックにした場所にする。この場所 でのファンの数は実に100名を越えている。私などは手持ちカメラ1台であるが、皆 3脚を2本にカメラ3台以上はザラであり、全く圧倒されてしまう。最後のシャッター を押した後、またバスで小沢駅に戻り札幌へと向かう。
 宿は2日に泊まったホテルであるが、会社名で予約したためか料金が1割引になってる。 パケットをやろうとモニターしてみたが今日は部屋が内側のためコネクト状態悪くあき らめ散歩に出る。駅前・薄野あたりは地下街もあり人も多い。札幌にも電柱・電線の無 い通りがある。それは札幌駅から大通りを横切って中島公園迄である。やはり電柱が 無いとすっきりしていて街の感じがいい。



5月6日(土)

 札幌発6時50分の臨時特急「北斗82号」に乗る。20分前に列に並んだので窓際 の席が確保出来たが、満席で発車。札幌駅も新しい高架式ホームになって、旧ホームの 跡地が広くあいている。将来の新幹線用地にでもなるのだろうか。
 千歳空港駅ではかなり下車する客が多い。やはり、私のように東京まで昼行き列車 を乗り通す人は少ないようだ。この先、原野や牧場の北海道らしい風景を楽しみながら 列車は快走する。線路際に咲く水芭蕉の花をいたるところで見れるのも北海道ならでは である。ハンディー機で沿線のレピータをワッチしながらいくがQSOは出来ず。函館 着10時59分。
 11時52分発の「海峡8号」に乗り替える。早速パケットをモニターしてみると、 ビーコンが見えたのでノードにコネクトしているとJF8CQXさんにコネクトリクエ ストを受けてチャットをする。リトライが多かったので帰ってからFWDメールを書く ことにする。このあと盛岡までずっと431.06MHzでモニターを続けたが他のコールは 見えなかった。青森着14時20分。
 接続の良い14時33分発の特急「はつかり20号」はすでに満席なので次の「はつ かり22号」に乗車。盛岡着17時52分。18時発の新幹線に乗り替える客が多く、 皆走ってゆく。確かにそれに乗ると上野には20時32分に着くのだが。私はゆっくり 駅前のホテルに向かう。こういう旅が一番贅沢なのかなあ。
 部屋に落ち着いてパケットのモニターを始めると、先程の函館のノードJA8DHR が見えた。2局をディジしている。早速コネクトしたがリトライは多い。しかし盛岡の 2局のメールボックスにコネクトし、書込もできた。しかし間もなくニッカドの電池が きれた。6日間良く持ったものだ。


5月7日(日)

 盛岡発8時。新幹線は早い、大宮着10時20分。

 今回の旅は俗に言う「旅行」とは一寸違うが、本当にいい旅をした感じがする。単に 観光地を見るのでは無く、自分の趣味を実行しながら各地を回る旅は一番贅沢なのかも 知れない。毎年出来ることでは無いが、又次のプランに夢を馳せている。
 ところで写真の出来具合であるが、いつもの如くフィルム1本の中に満足出来るのは 本当に無いのだ。まあいい、撮ること自体が趣味なのだから。
 又、FWDメールであるが、札幌から自分宛てに送ったもの(@JK1ERQ)はま だ届かない。@JF1OMTには届いているのに。。。。。 ( 完 )

(A.Kaneko 1989)・・2008更新


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