●石川県●
<のと鉄道線(旧七尾線)跡>・・・平成13年廃止

のと鉄道は旧JR能登線(穴水・蛸島)と旧JR七尾線のうち七尾・輪島間を引き継いだ第三セクターの鉄道である。 しかし、これもご多分に漏れず、並行する道路の改良や能登空港の開業などで利用者は減り、現在は七尾・穴水間を除いて廃線になってしまった。
蛸島側は距離が60Kmもあるので、1日やそこらでは歩けないので、今回は20Kmほどの輪島側の廃線状況を歩いて見ました。

前夜は金沢に泊まり、朝早い電車に乗って七尾で「のと鉄道」に乗り換え、現在の終着駅である「のと鉄道」の穴水駅には9時前に着きます。それにしても金沢から穴水駅まで2時間半もかかるのだ。 旧七尾線には国鉄時代に輪島まで乗った記憶はあるのだが、車窓の景色などはもう忘れている。しかし、帰りの能登中島駅でSL単機との交換があったのだけは妙に記憶に残っている。
穴水駅の先には2本の廃線が続いています。駅の跨線橋から見ると、まだ線路は先に続いているように見える。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

駅から線路沿いに歩いて行くと、山王川鉄橋がありました。この鉄橋は蛸島線(のと鉄道本線)のもので、輪島方面のはその左側であるが既に橋桁は撤去されており、橋台の先には線路が無いようです。 そう、右側の蛸島線の廃線の方はまだ新しいので、その先の踏切警報機も残されており、ほとんどがまだ手を付けられていないようです。
少し県道を歩いて行くと、蛸島線は小又川鉄橋を渡って右へ分かれて行きます。輪島線は少し先でさらに小又川を渡るのですが、やはり橋桁は撤去されています。 頭上では高速道路のような新しい空港道が建設中です。その先の台地の上に入ったところへ上ってみると、線路もそのままの状態で残されていました。しかし、山間いでは草木の植生で荒れていますので、歩くとしたら薮を掻き分けるのが大変そうです。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

道路に戻り輪島県道から分かれた能登空港への県道を辿ってトンネルの手前で旧道に入ると、旧道をオーバークロスする橋台の跡がありました。ここも橋桁の部分は撤去されていますが、線路は残されています。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

旧道はトンネルの出口で合流しますが、そのトンネル出口のすぐ上を廃線跡が通っています。 その先、空港道とはこの案内板のところで分かれて左に入り、静かな道になります。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

しばらく行くと高さ10mくらいの橋台がありました。これは七海川第一鉄橋で車道と七海川を越えてトンネルに入っていたのです。 藪をかき分けて築堤に上ってみると線路は完全に残されています。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

その先の第二鉄橋には短い橋桁が残されていましたが、長い部分の橋桁は撤去されています。 並行する県道は廃線跡を縫うように交差しながら行くので、探索には都合がいいです。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

廃線跡は沢の向こうに見える築堤ですが、峠に近づいたところでそばに寄って来ました。 穴水駅を出てからほとんど28パーミルの勾配で上っているのですが、道を歩くには楽な勾配です。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

道路と線路の間に国土交通省の水準点がありました。まもなく峠トンネルで、長さは310m。トンネル出口が最高地点で標高151mです。 ここまでは穴水町の管理になっているようですが、線路の撤去には費用がかかるためか、橋桁以外は殆どが残されているのでしょうか。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

県道はトンネルの上を峠で越えます。少し下がったところにお地蔵様がありました。この道は輪島へ出る旧街道なのでしょう。 今この道はほとんどクルマが来ません。峠道では軽トラに会ったのみでした。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

峠トンネルの先は線路が撤去されていました。ここからは輪島市の管理に変わったのです。 4月ですが、まだ残雪があります。七尾線の起点である津幡からの94.1Kmを示す距離ポストもあります。廃線跡は歩ける状態ですが、ここは歩きやすい車道を行きます。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

廃線跡と交差する先に集落が見えてきました。市ノ坂集落です。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

築堤に上がってみると、線路が撤去された跡は地元の人の生活道路になりかけているようです。ここからはバラスト上を歩くことにします。砂利が絞まっていないのでちょっと歩きずらいのですが障害物は無いので、ザッザッと音を立てて行きます。
農道の踏切り跡には枕木が残されています。気持ちの良い廃線跡を進みます。 近くの犬にワンワンと吠えられます。飼い主の人がなだめていますが、それでも吠えています。ウオーキング中は良くあることです。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

輪島県道のバイパスをくぐります。その先、小川を渡ります。橋桁は撤去されているのですが、信号ケーブルはそのまま張られたままになっています。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

勾配も緩くなり、塞がれた短いトンネルがあります。トンネルの手前の踏切り跡は掘り下げられて道路が平らになっています。県道を迂回してトンネルの先を辿ります。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

切通しを過ぎると河原田川の橋梁跡です。 そのすぐ先の廃線跡は小さな道の駅みたいな「三井の里」の一部になっていました。駐車場・トイレ・食堂・公園などがあり休憩が出来ます。近くには萱葺き屋根の民家が数軒あります。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

ここは小泉集落で、駅があっても良さそうなところなのですが、戸数はあまりまとまっていません。ここで時刻は12時20分です。 輪島まではまだ12Kmもあるのですが、この三井の里の「萱葺庵」という萱葺き屋根で囲炉裏のある食事処で昼食とします。(¥700のおまかせ定食はおすすめです) 薪の燃える囲炉裏端でしばし休憩です。
のと鉄道廃線跡のと鉄道廃線跡

(平成18年4月)
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