ビクトロンの話


NS−7 EO−M10F
ビクトロン(Victron)とは

ビクトロンは日本ビクター(株)の製造する電子オルガンの名称である。
もともと電子オルガンはパイプオルガンの音を電子化し、小型化して普及させた電子鍵盤楽器である。 原音は1オクターブの音階(12音)の正弦波で、それを元に鍵盤の数の音を作り、さらにひとつひとつの鍵盤に音色を任意に作れるカプラー合成を組み合わせている。また音の合成以外にトレモロ(音を回転させる)や効果音(オートリズムやビブラートなど)も付けてさらに複雑な音が作れるようになっている。
最近ではコンピュータ化により多彩な音色効果以外にコンポーザ・メモリー機能なども使われている。

ビクトロンのあゆみ

・昭和33年、EO−4420型 初の電子オルガン誕生・44鍵・真空管式。57万円。
・昭和41年、EO−100型 名称がビクトロンと名付けられる。49鍵・トランジスタ化。19万6千円。
・昭和42年、EO−200型 49鍵・オールトランジスタ化。28万5千円。
・昭和43年、EO−300型 49鍵4カプラー。46万円。
・昭和45年、EO−120型 49鍵3カプラー。24万円。
・昭和45年、EO−220型 49鍵3カプラー。32万5千円。
・昭和45年、EO−700型 49鍵7カプラー・トレモロ効果付き。82万円。
・昭和45年、EO−80S型 44鍵3カプラー。17万5千円。
・昭和45年、EO−80D型 18万9千円。
・昭和47年、EO−250SS型 49鍵4カプラー。37万円。
・昭和47年、EO−250STR 49鍵5カプラー、トレモロ・リズム付。45万円。
・昭和47年、EO−360STR 49鍵5カプラー、トレモロ・リズム付。58万円。
・昭和48年、EO−81R型 オートリズム付き。24万円。
・昭和48年、EO−130R型 44鍵・オートリズム付き。30万円。
・昭和48年、EO−151STR トレモロ・リズム付。38万円。
・昭和49年、EO−5M型 IC化で自動伴奏付。45万円。
・昭和50年、EO−8P型 49鍵5カプラー。86万円。
・昭和50年、EO−10S型 シンセサイザー付き。108万円。
・昭和51年、EO−G2R型 自動伴奏付。31万6千円。
・昭和51年、EO−G3型 自動伴奏付。35万6千円。
・昭和52年、EO−M6型 フルカプラー・ADSRコントロール採用。76万円。
・昭和52年、EO−M8型 フルカプラー・ADSRコントロール採用。白キャビ。87万円。
・昭和52年、EO−M20型 フルスケール(61鍵)。150万円。
・昭和53年、EO−G5F 自動伴奏・3カプラー。53万円。
・昭和53年、EO−G6型 4カプラー。62万円。
・昭和54年、EO−G3F型 自動伴奏・3カプラー。36万8千円。
・昭和54年、EO−M10F型 シンセサイザー付き。118万円。
・昭和55年、EO−G30型 4カプラー。29万5千円。
・昭和55年、EO−G40型 5カプラー。37万5千円。
・昭和55年、EO−G50型 5カプラー。48万5千円。
・昭和56年、EO−M70型 フルカプラー自動伴奏付き。69万円。
・昭和56年、EO−M90型 フルカプラー自動伴奏付き。85万円。
・昭和56年、EO−M120 フルカプラー・シンセ付き。115万円。
・昭和56年、EO−M150 フル鍵盤・シンセ付き。140万円。
・昭和57年、EO−G25型 3カプラー・コンピュコーダ付き。29万9千円。
・昭和57年、EO−G35型 3カプラー・コンピュコーダ付き。35万円。
・昭和58年、EO−M88型 コンピュコーダ付き。95万円。
・昭和60年、NS−5型 シーケンサー・コンポーザ・MIDI搭載。38万3千円。
・昭和60年、NS−7型 シンセ・MIDI・エディットメモリー搭載。85万円。
・昭和60年、NSシリーズ用各種オプション ペダル鍵盤・オルガン音源・メモリーパックなど。
・昭和64年、ビクトロン生産終了。

最後の名器 NS−7

ビクトロンの最後はNS−7型という今までの電子オルガンらしからぬ仕様のものが発売された。
(特長)
・コードメモリー(128小節)やシーケンサー機能を持つ
・伴奏パターンやコンポーザー機能をメモリーパックに記憶
・PCMステレオオートリズム(マニュアルドラム可能)
・MIDI端子付き(IN/OUT/THRU)
・8音ポりフォニック式シンセサイザー音源方式
・66種類の音色をエディット・メモリーが出来る
・ペダル鍵盤は1オクターブまたは2オクターブ用から選択出来る
・オルガン音源などのオプションが付けられる
・アンプとスピーカーは自由なものが使用出来る
(技術的要素)
・CPUを4個使用(メインコン・アッパー音源・ロワー他音源・鍵盤用)
・マスターオシレータを3個使用(アッパー・ロワー・ソロ)
NS−7
NS−7

NS7−MIDIインプリチャート

ビクトロンコンクール

ビクター音楽教室本部の主催で毎年ビクトロンコンクールが開催された。全国の9地区大会での優勝者は東京のサンプラザホールで日本一の腕を競った。部門は3部門(ジュニア・シニア・グランプリ)により演奏が競われた。

下は第10回大会決勝の入場券。写真の楽器はM20。(昭和55年)


写真は第18回大会の地区大会の様子。使用楽器はNS−7。(昭和63年)




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